ストレスでハゲるって本当？脱毛症の種類やメカニズム・改善方法

ストレスで抜け毛が増えていますか。家族や職場の同僚に薄毛を見られたくない、ストレスで薄毛になる理由を知りたいと思っていませんか。

過度なストレスが原因で抜け毛が増えているかもしれないと、不安に感じることはありますよね。実は、ストレス性の脱毛症はいくつかあり、ストレス状態を改善すれば抜け毛を防げる可能性があります。

この記事では、「ストレスでハゲる脱毛症と改善方法」について解説します。発症のメカニズムや脱毛症の判断基準についても触れているので、ストレス性薄毛に悩んでいる方はぜひ最後までご覧ください。

ストレス性のハゲになる人の特徴

過度なストレスは頭皮環境にも悪影響を及ぼします。ストレスによって頭皮の血流が悪化し、髪の毛に必要な栄養が届かなくなるからです。

特に、ストレスがたまりやすい人はハゲやすいので、注意が必要です。

• 自己評価が低い
• 完璧主義
• 心配性
• 繊細で傷つきやすい
• 頼みごとを断れない
• 孤独感が強い
• 趣味がない
• 生真面目

これらの特徴は、「神経質でフラストレーションをうまく発散できない」という悩みを抱えやすく、結果的にストレスが原因でハゲやすいです。そのため、これらの特徴に当てはまる方は、ストレスを減らすための工夫が必要です。

ストレスで抜け毛が増えるメカニズム

ストレスが身体に異常を引き起こし、抜け毛を増やします。以下のような身体の不調に注意しましょう。

1. 自律神経の乱れ
2. ホルモンバランスの乱れ
3. 自己免疫疾患
4. 睡眠不足による成長ホルモンの減少

それぞれの項目について説明します。

1.自律神経の乱れ

過剰なストレスは自律神経のバランスを崩し、頭皮に悪影響を及ぼします。これは自律神経が血流のコントロールを担っているためです。

コントロールが失われると、以下の問題が生じます。

• 血流の悪化
• 頭皮への栄養供給不足
• 細く、パサつくなどの髪質の悪化

これにより、ヘアサイクルが乱れ、抜け毛が増えます。

2.ホルモンバランスの乱れ

ホルモンバランスの乱れは女性の薄毛に影響します。

これはホルモンバランスの乱れが、髪のハリやコシを維持するエストロゲンの減少につながるためです。脳の視床下部から卵巣に女性ホルモンを分泌する指令を送ります。

しかし、ストレスを受けると視床下部はストレスホルモンのコルチゾールを分泌するようになります。これにより、エストロゲンは減少し、髪の成長が止まり、抜け毛につながります。

3.自己免疫疾患

自己免疫疾患とは、本来病気から身体を守る免疫機能が攻撃的になり、自身の細胞を「敵」とみなして攻撃する状態を指します。

ある実験では、ストレスによって自己免疫疾患のリスクが増加するという結果が報告されており、ストレスと免疫機能の関連が指摘されています。

そのため、ストレスが原因で自己免疫疾患が発生し、身体の異常が抜け毛の増加につながると考えられます。

参照元：ストレス関連障害とその後の自己免疫疾患との関連

4.睡眠不足による成長ホルモンの減少

過剰なストレスは大脳を興奮させ、不眠を招きます。

熟睡できない状態は成長ホルモンの分泌を滞らせ、発毛に悪影響を及ぼします。その結果、薄毛が促進されます。

ストレスとハゲに関する最新の研究

研究の進歩により、ストレスと薄毛の関係性に新たな見解が出ています。2021年の「科学誌Nature」に掲載された論文では、マウスを用いた実験から毛包の活性化を阻害するストレスホルモンの存在が明らかになりました。

実際の実験では、ストレスを与えると副腎皮質ホルモン「コルチコステロン」が分泌され、発毛サイクルが停止する結果が示されました。しかし、ストレスがない場合は発毛サイクルが回復することも分かっています。

そのため、コルチコステロンの人体への影響が実証されれば、ストレスによる薄毛を解消できる可能性があります。

参照元：幹細胞：ストレスが発毛に影響を及ぼす仕組み | Nature | Nature Portfolio

ストレス性脱毛症の3つの判断基準

抜け毛が増えたと感じる時、「生理的なものか、それとも脱毛症か？」と判断するのは難しいかもしれません。クリニックへの相談が大切ですが、自分でもある程度セルフチェックができます。

1. 1日に100本以上の抜け毛がある
2. 毛根が小さく、形に違和感がある
3. 細くて短い髪が多く抜ける

これら3つの項目で脱毛症かどうかを確認しましょう。

1. 1日100本以上の抜け毛がある

1日に抜ける髪の毛の目安は50本から100本とされています。この本数を超える場合、異常な脱毛の可能性があります。

お風呂の排水溝や枕に髪の毛が大量に付着している場合は、脱毛症を疑うべきです。

2.毛根が小さく、形に違和感がある

抜けた髪の毛の毛根を観察しましょう。自然な脱毛では毛根がマッチ棒のように丸みを帯びています。

しかし、毛根が小さくいびつな形をしている場合、異常な脱毛の可能性があります。

3.細くて短い髪が多く抜ける

ストレス性の抜け毛は、髪の毛の太さからも推測できます。自然に脱毛した髪は、成長後に抜け落ちるため、太くてハリがあります。

一方、異常な脱毛で抜けた髪は成長途中で抜けるため、特徴があります。

• 髪の毛が細い
• 極端に短い
• 毛根が黒い

これらの特徴が見られる場合、視覚的に成長途中であると判断できれば、脱毛症のサインといえます。

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ストレスが引き起こす薄毛の種類

この章では、ストレスが引き起こす代表的な脱毛症を紹介します。

1. 円形脱毛症
2. 休止期脱毛症
3. 女性男性型脱毛症（FAGA）
4. びまん性脱毛症
5. 分娩後脱毛症

それぞれの症状について解説します。

1.円形脱毛症

名前の通り、円形に髪が抜ける脱毛症です。10円玉サイズから頭皮全体に及ぶまで、抜け毛の範囲には個人差があります。

円形脱毛症はストレスによる自己免疫疾患が原因とされていますが、まだ完全には解明されていません。

2.休止期脱毛症

休止期脱毛症は、髪の毛の成長が止まる休止期に抜ける症状です。抜け毛は頭部全体や部分的に発生し、個人差があります。

通常、髪は退行期から休止期に移行し自然に抜けますが、休止期脱毛症ではこの過程を飛ばして休止期に入ります。

ストレスからの回復により改善することが多いです。

3.女性男性型脱毛症（FAGA）

頭頂部を中心に、頭部全体の髪の毛が薄くなる症状です。ストレスによる女性ホルモンの分泌乱れから、髪のハリ、コシ、そして全体のボリュームが失われます。

特に40代前後の女性に発症しやすいことで知られていますが、過度なストレスにより20代から発症するケースもあり、注意が必要です。

4.びまん性脱毛症

頭皮全体のボリューム不足が特徴の脱毛症です。びまん性脱毛症は女性に多く見られ、髪が細くハリやコシがないように見えます。

自律神経やホルモンバランスの乱れによって引き起こされるため、ストレスがきっかけとなりやすいです。

5.分娩後脱毛症

妊娠中や産後の女性ホルモンの分泌量の変化によって起こる症状です。

育児のストレスが原因で分娩後脱毛症が生じることもあります。

改善するための生活習慣とセルフケア

ストレスによる薄毛を改善するためには、生活習慣を見直し、セルフケアを行うことが効果的です。

1. ストレス解消法を見つける
2. 食生活を見直す
3. 規則正しい生活を心がける
4. 薄毛の部分を隠す
5. 十分な睡眠を取る

これらの項目について詳しく説明します。

1.ストレス解消法を見つける

ストレスを解消できる趣味を見つけましょう。休日にストレスの原因をずっと考えていると心が疲れてしまいます。

そんな時、趣味に没頭することでストレスから注意をそらせます。ですから、「休日は映画を楽しむ」といった休日のルーティンを作ると良いです。

2.食生活を見直す

健康な髪の成長には適切な栄養摂取が必要です。栄養不足を避けるため、次の栄養素を摂りましょう。

• たんぱく質
• ミネラル
• ビタミン

美味しい料理を楽しむことで幸福感が得られ、ストレス解消につながるため一石二鳥です。

3.規則正しい生活を心がける

適度な運動で血流を促進し、起床後に朝日を浴びることで規則正しい生活を心がけましょう。

特に、太陽光を浴びることが少ないと抑うつ状態になりやすくなるため、注意が必要です。

4.薄毛の部分を隠す

仕事や外出中に「薄毛を見られている」と感じると、さらにストレスを感じることがあります。これは、薄毛に対する劣等感から精神的な不調を引き起こすためです。

このような時は、「ウィッグや帽子を着用する」と良いでしょう。薄毛を隠すことで心理的な負担を軽減できます。

ただ、帽子を長時間被ると頭皮が蒸れやすくなるため注意が必要です。汗をかいたら雑菌が繁殖しやすくなるため、頭皮を清潔に保つためにしっかりとシャンプーをすることが大切です。

5.十分な睡眠を取る

睡眠時間を確保することで抜け毛を予防できます。これは、睡眠中に成長ホルモンが分泌されるためです。

その結果、育毛に適した環境が整うので、睡眠習慣を整えることが重要です。

ストレス性のハゲを改善する方法

ストレスによるハゲを改善する方法は以下の通りです。

1. ストレスマネジメントを実践する
2. 心療内科を受診する
3. クリニックに相談する

これらの項目について詳しく説明します。

1.ストレスマネジメントを実践する

ストレスマネジメントは、ストレスの原因を客観的に分析し、対処する方法です。

仕事や生活でのストレス源を特定し、排除することが目標です。

STEP1：ストレッサーを発見する

ストレッサーとはストレスの原因を指します。ストレッサーには様々な種類があります。

ストレッサーの種類	具体例
身体的ストレッサー	睡眠不足、体調不良など
心理・社会的ストレッサー	人間関係、ノルマ、家庭問題など
物理的ストレッサー	気温、騒音、照明、病気など
科学的ストレッサー	たばこ、アルコール、薬物など
環境的ストレッサー	天候、災害、ウィルスなど

まず、自分のストレスがどのタイプに該当するかを特定しましょう。

STEP2：ストレス反応に気付く

ストレッサーによってストレスが生じると、心身に影響を及ぼす「ストレス反応」が引き起こされます。具体的なストレス反応は以下の通りです。

反応の種類	身体に起こる不調
身体的反応	疲労、肩こり、めまい、不眠、食欲不振、脱毛症など
心理的反応	イライラ、集中力低下、鬱、不安、忘却など
行動的反応	過食、生活リズムの乱れ、アルコール依存、ゲーム依存、喫煙の増加、暴力、遅刻が増える

日常生活で生活習慣が乱れたり、メンタルが不安定になったりするなどの兆候が現れたら、注意が必要です。

STEP3：ストレスの原因から離れる

自分のストレス状態に気づいたら、ストレッサーと距離を置きましょう。根本的な原因に対処しなければ、ストレスを解消する意味がありません。

例えば、高圧的な上司が原因であれば、趣味でリフレッシュしても、職場に戻るたびに疲れてしまいます。

この場合、「心理・社会的ストレッサー」との距離を置くことが解決策です。人事異動や転職を検討するなど、ストレッサーから離れることが重要です。

2.心療内科を受診する

ストレスによる抜け毛の改善には、心療内科の受診をおすすめします。

心のケアを通じて、心の負担を軽減し、髪の成長を促進させましょう。

3.クリニックに相談する

心療内科の受診と同時に、クリニックの医師に相談することも重要です。

脱毛症に応じた適切な治療法を提案してもらえます。

まとめ

ストレスが原因でハゲになる理由には、自律神経やホルモンバランスの乱れ、自己免疫疾患、睡眠不足などがあります。

ストレスによる脱毛症は多様で、症状に応じたアプローチが必要です。

生活習慣の見直しやセルフケアの改善、ストレスマネジメントなどで対処しましょう。

薄毛が進行している場合、自己対策だけでは難しいこともあるので、クリニックでの相談をおすすめします。適切な治療法を見つけることが大切です。